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- 2023/03/18
- 腰痛
【腰痛 慢性痛】脳と慢性痛
慢性痛と脳
長いつらい痛みから「解放」を本気でしたいと思っている方は,「痛み=組織の損傷」という考えを変えましょう!
痛みの説明で・筋肉が硬くなっている・神経が圧迫されている・骨盤が歪んでいるなど病院や整骨院で説明を受けたことはありませんか?
全部が間違っているわけではありません。ただし重要なことは痛みに対して相関関係はありますが因果関係はありません。相関関係と因果関係
筋肉が硬くなっていることで痛みが発生しやすくなる傾向にあり、痛みが発生していると全員が同じ結果になれば因果関係があると言えます。
ただしこの筋肉が硬くなっている人全員が痛みや痺れがあるわけではありません。慢性的な痛みからの解放
つまり,慢性痛は視点を変える必要があります。
1.痛みには種類があり,痛みを感じる部分にも種類がある
2.痛みは脳の状態により大きく左右される
3.慢性痛改善のポイントは負のループを断つ
前回も出てきました国際疼痛学会で痛みの定義で「痛みとは,実際に組織損傷を伴ったか,あるいは可能性がある場合や,
その様な障害があると述べられる不快な知覚,あるいは情動体験」
怪我をした際に痛みを感じるわけではなく,情動体験でも痛みは生じると明確に記載があります。情動とは,怒りや恐れ悲しみ喜びなど比較的急速に引き起こされる感情のことです。痛みの種類
痛みには期間によって急性痛と慢性痛(症状が3ヶ月以上続くもの)の2つの種類の痛みに分けることができ,今回は慢性痛に重きを置いてお話しします。急性痛
組織損傷直後の炎症による痛覚受容器の興奮ロキソニンなどが有効慢性痛
中枢神経系の可塑的変化(大脳辺縁系や前頭前野の機能不全)痛み信号を受けすぎた結果,脳に変化が起きている状態ロキソニンなどの鎮痛剤が効かない
つまり,急性と慢性では同じ様な痛みでも全く別物です。慢性的な痛みの方は病院で処方される痛み止めが効かないのは,そもそも急性期に使うものだからです。
では慢性痛をさらに詳しく原因を分類すると3つに分かれます。
感覚的疼痛
外側脊髄視床路の投射部位:一次体性感覚野
情動的疼痛
内側脊髄視床路の投射部位:大脳辺縁系・島皮質(視床下部と強いつながりのある部位)視床下部は自律神経の中枢です。それは,情動(感情)を扱う脳の領域と痛みの情報を扱っている場所が同じなのでネガティブ思考になっている場合は痛みを感じやすい。
認知的疼痛
活動が低下している体の部位は体性感覚や運動出力が減少します。
その体の部位に対応する脳内の体部位再現(ホムンクルス)が縮小身体イメージの破綻(大脳皮質機能が低下していくことで,下降性疼痛抑制が機能しなくなる)
痛みの場所を尋ねた際に,「どこが痛いかわからない」は症状が進行している痛みが長く続いたことで痛みの情報がぼやけてしまっており,この状態はまた痛みを助長します。
痛みの強い人は、内側前頭前野が過剰に活動してしまっていてここが活動しすぎることで側坐核から放出されるドーパミン※1が減少します。
つまり,痛みを繰り返してる慢性痛は前頭葉の機能低下と言えます。
ワインドアップ現象
抹消神経へ強い刺激が繰り返し加わることによって,ニューロンの放電時間が延長しより閾値が下がり痛みを感じやすくなる。
長期増強
高頻度に強い刺激がニューロンに加わることで伝達効率が増加,刺激がなくなった後でもシナプスの興奮が持続してしまう。簡単に説明しますと,痛みが長く続くことで痛みに敏感いなる→損傷部位でなく脳が痛みを出している状態
内側前頭前野の活動を抑える方法
それは,相互作用の関係にある背外側前頭前野の機能を上げることです。必要なことは,
1.前頭葉の活性化
2.ストレスの除去
3.身体イメージの再構築
3つ目は身体イメージは崩れることで身体を持続的に緊張させます。当院での治療はこちらの調整をしてくことがメインになります。自宅や日々の生活で大事になってくるのが1と2で鍵となるのは「主体性」
・頭を使う,話す,書く・運動をする・考えて行動する・勉強する
など,主体的に動くこと。受身な生活は脳に刺激が入らずダメージを与え活動を低下させます。これが前頭葉の活動低下につながります。特に運動,少し早めに歩くことは非常に前頭葉に刺激を与えます。まとめ
正しく動き・感覚を研ぎ澄まし・脳を活性化させる慢性痛はそれぞれの問題を教えてくれる体からの情報です。長く辛い痛みでお困りの方は,一度真剣に自信の身体と向き合ってみましょう。その為のお手伝いを全力でさせていただきます。
※1ドーパミンの働き
・動機づけ(モチベーションを作る)・疼痛抑制・運動調節などが主な作用であり,何をするにしても腰が重く動きたくないという人はこのドーパミンが減少しているかもしれません。